犬の十戒


 

一緒にいるがゆえ忘れてしまうこと

ずっとずっと覚えていてください

 

 

私の一生はだいたい10年から15年です

あなたと離れるのが一番つらいことです

どうか私と暮らす前にそのことを覚えておいてほしいのです

 

あなたが私に何を求めているのか

私がそれを理解するまで待ってほしいのです

 

私を信頼してほしい

それが私にとってあなたと共に生活できる幸せなのですから

 

私を長い間叱ったり罰として閉じ込めたりしないでください

あなたには他にやることがあって楽しみがあって友達もいるかもしれない

でも私にはあなたしかいないのです

 

時々話しかけてほしい

言葉は分からなくてもあなたの声は十分私に届いています

あなたがどのように私を扱ったか私はそれを決して忘れません

 

私を殴ったりいじめたりする前に覚えておいてほしいのです

私は鋭い歯であなたを傷つけることができるにも関わらず

あなたを傷つけないと決めているのです

 

私が言うことを聞かないだとか頑固だとか怠けているからといって叱る前に

私が何かで苦しんでないか気づいてください

もしかしたら食事に問題があるかもしれないし

長い間日に照らされているかもしれない

それとももう体が老いて弱ってきているのかもしれません

 

私が年をとっても私の世話はしてください

あなたもまた同じように年をとるのですから

最期のその時まで一緒に傍にいてほしいのです

 

このようなことは言わないでください

「もう見てられない」

「居たたまれない」などと

あなたが傍にいてくれるから最期の日も安らかに逝けるのですから

 

忘れないでください

私は生涯あなたを一番愛しているのです